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2007-09-25 / RSS

第253回「ミッキーのいないディズニーランド〜後編〜」 - 2007-01-21 10:00:00更新

 ということで向かったブリュッセルは日本からの直行便がなく、僕はドイツからはいりました。年々十何時間に及ぶ飛行時間が短く感じてくるのは、やはり見えない分母(第166回参照)が大きくなっているからでしょうか。ヨーロッパ気分を味わう気満々で飛行機を降りた僕をまず迎えてくれたのは、巨大な「TOYOTA」の看板でした。実際、世界のいたるところで見かけます。確かに世界のトヨタですが、もう少し空気を読んでくれると助かります。そして空港でもうひとつ気付くのは、公共の案内が、仏・蘭・独・英の四ヶ国語で表記されていることです。国のおもな言語としては、ベルギー語というのはなく、地理的環境からフランス語とオランダ語とドイツ語で、たいていの人が英語も話します。実際、ブリュッセルからは、ロンドンもアムステルダムもパリもケルンも、鉄道で2,3時間で行けてしまう位置にあり、以前習ったEUの本部がおかれていることも、そういった地理的・言語的な要因かもしれません。ホテルの番組をみても、なんとなくなにをやっているかわかったらイギリスの番組、たまにききとれるのがフランスの番組、ほとんどわからなかったらオランダかドイツのそれといった感じで認識していました。そんな環境の中で僕は、15年前の受験で培った英語の残りわずかな貯金でどうにかやりくりしなければならず、非常に緊張感のある英会話をしていました。でも、どうにか単語を並べて相手の目を見て、心が折れさえしなければなんとかなるものです。

 ブリュッセルを訪れたのなら絶対に行かなくてはならないのが、グランプラスという広場です。この場所を、ユーゴーは「世界で最も美しい広場」と言い、ジャン・コクトーは「豊饒なる劇場」と称賛しました。チェックインを済ませた僕は、さっそくグランプラスを目指しました。石畳の上を歩き、人の多いにぎやかな通りを抜けると、僕の想像を超えた幻想的な世界が待っていました。21世紀の偉大なヘルシーDJは思わず、「ミッキーのいないディズニーランドだ」と称賛したのです。ちょうどその時は、通常のライトアップだけでなく、音楽と光のショーみたいなのがやっていて、そのまま現実から遠のいていくような感覚になりました。

 そのグランプラスを中心として、ロマンティックな街並みがひろがっています。パリを光の街と呼ぶ人がいるように、ヨーロッパの街はいつもあたたかな光に照らされています。ヨーロッパの人々は、内装こそリフォームしているものの、外観はかつての姿のままに、古くから残る建物をそのまま利用しています。建て替えることはせず、光を浴びせることによって彩を添え、現代的なモニュメントにしているのです。お店なども古い建物のなかにあるので、いってみれば、京都のお寺の中にジャスコや高島屋があるようなものでしょうか。それは、地震がないからできることもありますが、歴史に対するリスペクトもあるでしょう。昔があるから現代がある、ということかもしれません。蛍光灯ではない無数の光が、冬の寒さをやわらかく感じさせてくれるのです。

 かの偉大なヘルシーDJは「ミッキーがいない」と言いましたが、その代役を務めるものはいます。ブリュッセルというディズニーランドには、ミッキーこそいないものの、「小便小僧」がいるのです。そのレプリカは世界中にあり、日本でもCMなどでおなじみですが、これはそもそもベルギーのものなのです。ミッキーの代わりといっても、街中をうろうろしてみんなと握手するわけでも、パレードをするわけでもありません。ただ、街の一角で静かにおしっこをしているだけです。現在あるのは、1619年に作られたもので、その実物の小ささにがっかりする者も多く、マーライオンなどと並ぶ、世界3大がっかりに指定されているようです。僕の中ではそのような感情にはなりませんでしたが。

 そもそもこの小便小僧というのはなぜ有名になったのかというと、その由来はいくつもあるそうで、「敵軍に包囲されたブリュッセルの王子が、投げ込まれた弾薬の導火線におしっこをして国を守った」という説が、個人的には好きです。過去に、盗難されたことが原因でデモが怒ったほど市民の間では愛されていて、いまでは全裸の彼のために世界中から衣装が贈られているのです。タイミングがよければ、その衣装を着ておしっこをしているときもあるようで、そうするとかわいさも倍増するでしょう。

 彼と写真を撮り、最寄りのおみやげやさんで購入した置物を、さっそく部屋に飾っているのですが、いまだにどうしても納得のできないことがあるのです。それは、なぜ「小便小僧」と訳したのか、ということです。現地の表記では「MANNEKEN PIS」(ドイツ語かな)、つまり「マネキン人形」と「おしっこ」という組み合わせで、直訳すれば「おしっこ人形」といったところでしょうか。現地では、その王子の名前から「ジュリアン君」「ジュリアン坊や」と呼ばれているそうです。にもかかわらず、誰が訳したのか知らないけれど、「小便小僧」とはまったく愛が感じられません。それじゃ、国を守った功績はなく、単なるいたずら小僧、問題児的な印象を与えてしまうだけなのです。僕だったらせめて「おしっこ坊や〜わが国を救った勇気ある少年〜」にしてたかなと思うのです。そうしたら、日本での彼の印象も多少は違ったのではと思うのです。ちなみに、世界中から贈られた衣装を着ている「ジュリアン君」を見れる博物館もあり、そのなんとも着せられてる感じが面白いです。実際日本からも、鎧兜や、桃太郎などの衣装がおくられていますが、どの衣装を着ても、必ずおしっこをしているところがかわいいのです。

 そしてやはり、ベルギーというと、思いつくのがワッフルでしょう。「足乳根の母」の枕詞のように、ベルギー・ワッフルという言葉は日本でもすっかり定着していますが、現地では原宿のクレープやさんのように周囲に甘い香りをふりまくワッフル屋さんが多く見られるのです。あの香りを嗅いでしまうと、その気はなくても食欲がわき、「今日もいっとくか」と毎日食べてしまうほどです。上にチョコやイチゴを乗せたりするものもあるのですが、できたてのワッフルはこれまでの自分の中でのワッフルの歴史を変えるほどの衝撃的美味でした。やはりなんでもできたてですね。そしてもうひとつ多く見かけたのが「フライドポテト屋さん」です。ベルギーではなぜか「フライドポテトの国」という自負があるようで、街のいたるところでポテトのマークを見かけるのです。実際僕が食べた店は、マクドナルドとモスバーガーのポテトの中間くらいの大きさで、本場?だけあってやっぱりおいしかったのです。だからワッフルとポテトはなんだかんだ毎日食べてました。また、ワッフルとポテトだけでなく、美食の国といわれるだけあって、ベルギーの料理はとても緻密・繊細でおいしいです。フランスに近いこともあり、フランス料理と味が似ているのでしょう。海外にいくと避けられないのが、言葉の壁と食の壁です。時折、「あの国、飯がちょーまずくてさぁ」みたいなことを耳にしますが、「まずい」という言葉は僕は適していないと思いますが、「日本人の口にあわない」ことはよくあります。食も文化ですから、日本人が食べて合わないものがあるのは当然で、世界中どこにいってもストライクな食文化のほうが気持ち悪いのです。だから、ヨーロッパの気分を味わうとは思いつつも、これまでの教訓を活かし、しっかり日本食代表として、カップヌードルを持参していたのですが、その出番もなかったほどに、今回は食に困らなかったのです。

 食でもうひとつ有名なのは、チョコレートです。コージーコーナーのような感じのチョコレート屋さんもあれば、骨董品屋さんのような店構えのチョコレート屋さんもあります。中でも、「ピエール・マルコリーニ」というまるでシャンパンかワインかのような名前のチョコレート屋さんは、シャネルとかの有名ブランドのお店のようで、ヴィトンのバッグのようにチョコが並び、ティファニーの指輪のようにチョコが並んでいました。たしかにそこのチョコレートは他のとは一味違う、と言わないといけない感じもしますが、僕の味覚力からすれば、どこのもおいしかったです。

 ここまで書き綴ってきたことは、言ってみれば一泊二日もあれば経験できることです。じゃぁほかの数日間はどうしていたのさ、オランダはどうなのよ、ということですが、それは心のブログにしまっておきたいと思います。(心のブログ?)おそらく今後、なにかのときに表面化されると思うので。ただ、今回三度目となったヨーロッパ旅行で強く感じたことは、「やっぱり俺の前世はこっちの人だわ」ってことです。何回前の人生かはわからないけど、ヨーロッパを訪れたときの安心感とフィット感(そばを食べたいときにそばを食べた感じ)は、かつてそこで暮らしていたとしか思えないのです。絶対そうなのです。そう思わせてください。ということで、2007年もよろしくおねがいします。

お知らせ - 2007-01-18 14:20:35更新

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第252回「ミッキーのいないディズニーランド〜前編〜」 - 2007-01-14 10:00:00更新

 30歳になってから恒例にしている、お正月の海外旅行も今回で3回目を迎えることになりました。芸能界の先輩方に相談してみんなが南国を薦めたにもかかわらずフランスに行ったのが2年前のこと。それで味をしめてカウントダウンをウィーンで過ごし、さらにプラハにまで足をのばし黄金の街に魅了されたのが去年でした。そして今回も、いままで我慢していた反動からか、当然のようにお正月に海外に行く気でいたので、11月あたりから心のどこかでドラフト会議が開かれていました。

 流れからすると今回もヨーロッパになりそうだったのだけど、やはりここは地球規模で選択しようと思いました。寒い冬に寒い国にいくことはないじゃないか。やはり寒い冬こそ、あたたかくてのんびりできる国に行こうじゃないか、そう何度も自分に言い聞かせましたが、どうしても気持ちがヨーロッパに向いてしまいました。前世がヨーロッパの人だったんじゃないかと思うほど、勝手に意識が向いてしまうのです。

「お正月にシチリア島にいきたいんですけど・・・」

 ゴッドファーザーや、僕の最愛の映画「ニューシネマパラダイス」のロケ地ともなった、イタリアのつま先にある大きな島、シチリア島。そこに行って、あの名シーンを体で感じたい、そんな気分になったのです。地球の歩き方を筆頭に、あらゆる本やネットで情報をかき集め、お正月は海を見ながらパスタで過ごすのだろうと思っていました。旅行会社にも、印鑑とパスポートを持って予約金も入れ、それまでパスタ禁止を開始しようとしたところでした。

「いや!ちがう!シチリア島じゃない!っていうか、イタリアじゃない!!」

 僕の体内で違和感が急発生しはじめました。あれだけ散々調べたのに、ネットでいろいろ写真も見たのに、それらを知れば知るほど微妙なズレを感じ始めたのです。ほんとはそばが食べたかったのにうどんにしてしまった、みたいな。だから、いまさらキャンセルなんて、と思ったものの、イタリアというパスタの国で、うどん食べたかったのにそば食べちゃったよ、みたいな気分になったらそれこそわけがわからなくなってしまうので、僕は勇気を出して旅行会社にきっぱりと言ったのです。

「あのぉ、先日予約金を入れさせてもらいました府川という者なんですけど・・・すみません・・・ほんと申し訳ないんですけど、やっぱり自分に嘘をつきたくないって言うか、自分に素直でいたいっていうか・・・」

 と、世界一まわりくどいスタイルで、キャンセルをいれたのです。

「そうなんだよ、なんかイタリアじゃないんだよ!ベルギーなんだよ!」

 なぜか突如浮上してきたのが今回の海外旅行の舞台となったベルギーでした。実際は、もう少し心の動きがありましたが、自然と吸い寄せられるように落ち着いたのです。そばを食べたいときにそばを食べたなって感じのフィット感が、ベルギーにあったのです。この例えが余計ややこしくしていることはわかっています。

「え、どこですか?」

「ベルギーだよ、ベルギー」

 年末になると必ず海外どこに行くといった関係の話になります。南国・アメリカ系は、

「ハワイ?いいなぁ」

「ベガス?いいなぁ」

 みたいなことなのですが、「ベルギー」は必ず二度聞きされます。しかも、急なベルギーに対する情報はほとんどないので、

「あ、そうなんだ・・・」

 で終わるか、やさしい人で、

「ベルギーって、ワッフルの・・・?」

 と聞き返してくれる程度です。ただ、全員に共通しているのは、

「ベルギーになにしにいくの?」

 ということでした。僕もそのことを聞かれるまではそんな風に考えてはいなかったのだけど、あらためて訊かれると、返答に困りました。第一回目が「カフェオレを飲みに」、第二回目が「モーツァルトの生誕250周年を祝いに」、という名目上の目的があったものの、それはあくまで名目上のことで、実際は単に石畳の街を歩きたい、というくらいだったのです。だから、なにをしに?と訊かれても「ゴルフ」だとか「ショッピング」という具体的なワードじゃ説明できないのです。

「きみねぇ、その質問は非常にナンセンスだよ。それは、デイズニーランドに行く人になにしに行くのってきくようなもので、まったくロマンがない。そこに行くこと自体が目的なんだよ。そこにロマンがあるんだよ」

 そんなことを言ったら自然に友達がいなくなってしまうので、心の中にしまっておいて、

「まぁ、ワッフルとか?まだあんま考えてないんだけどね、あはは」

 みたいな感じでやり過ごしていました。とはいうものの、ベルギーだけだとコミュニケーション上あまりにパンチがないことを痛感したので、隣のオランダにも訪れることにしました。ベルギーだけよりも、オランダを加えた方が、「風車」や「ゴッホ」などの観光地としてのメジャーな印象を与えるのです。オランダには申し訳ないけれど、コミュニケーションを円滑に行うためには、オランダが必要だったのです。

 そうして、おせち料理も食べずに向かったベルギーはブリュッセル。そこはまさにディズニーランドのような街でした。それこそ、ミッキーのいないディズニーランドでした。詳しくは次週お伝えします。

第251回「心の中で乾杯」 - 2006-12-24 10:00:52更新

第251回「心の中で乾杯」
 気付けばこの連載も250回を突破しているではありませんか。モーツアルトの生誕250周年記念があるのだから、この250という回数は十分祝うに値するタイミングではないでしょうか。しかもモーツアルトに関しては今年、故郷のザルツブルグや活動の拠点となったウィーンなどでさまざまな音楽祭が開催されたので、個人的には故郷の横浜で週刊ふかわ音楽祭なんてやってもいいのですが、それを実現するにはあまりに予算不足いうことで、なくなく断念しました。なので、100回200回の記念企画のように読者の皆さんを巻き込んだお祝いも考えたのですが、これを実現させるにはあまりに準備不足ということで、結局この250回というタイミングでは、「250回おめでとう...」と、心の中でグラスの先端を合わせるという、ある意味エアー乾杯的なお祝いすることにしました。ただ、300回が遠くに見えているので、心のどこかで300回記念はどうしようかな、なんて考えたりもしています。
それにしても、よくまぁ続いたものです。誰に頼まれているわけじゃないのだから、こんなの好きじゃなきゃやってられないです。いまだに「本人が書いてるんですか?」みたいな疑惑を抱く人もいるけど、ここまで付き合ってくれるゴーストライターもそうそういないと思います。ほんと、一度くらいは全然関係ない人に書いてもらってもいいのではと思うほどです。
とは言うものの、自分ではわかっています。「よく続いたなぁ」なんて言ってるけど、本当は知っているのです。どうして僕がこの連載をここまで続けるのかを。それは、呼吸だからです。僕にとってこの連載が呼吸だからなのです。つまり、生活になくてはならないものだということです。1、2週休むことは平気なのだけど、これを完全にやめてしまうと呼吸困難のようになり、苦しんで、あわよくば死んでしまうのです。さみしくて死ぬうさぎのように、書くことを絶たれて死んでしまうのです。人類初の、コラム中断死です。だから、この呼吸のラインが絶たれたら、ほかの呼吸法を探さないといけないわけです。そんなことに、結構前に気づいたのです。
だから、時々「これ、単行本にしないんですか」なんて言われるんだけど、あまりそういうことを意識してはいなかったのです。実際、この週刊ふかわを基にした単行本は、「ムーンライトセレナーデ」と「カフェオレスマイル」というタイトルで絶賛発売したのがおよそ3年前のことで、それからというもの僕はその2冊で満足し、単行本にすることを意識しないでいました。意識してしまうとそれが露呈したり、自由さを欠いてしまうこともあります。そしてなにより僕にとってこれらの文章は呼吸なので、単行本になろうとなかろうと、呼吸できればいいと思っていたのです。
しかし!しかししかし!!そんな無欲な32歳の男のところに重大なニュースが飛び込んできました。ちょうどこの250回を迎えるにあたり、まるでコウノトリが運んできたかのように、この週刊ふかわの単行本化の話が舞い込んできたのです。あまり詳しいことはまだ言えないのですが、そんなことになっているわけです。そうなると、出版の際にはまた記念イベントを開催しなくてはなりません。出版記念サイン会もいいけれど、せっかくだから出版記念温泉ツアーぐらいやりたいところです。夢は膨らむばかりです。
普段あまり本を読んだりしない僕ですが、たまに好きな本に出会うと、読まないのにかばんの中にいれておきたくなることがあります。そんな、ついついそばにおきたくなる本を目指したいところです。ただ、僕が今懸念しているのは、この250という数の文章からどれを選ぶべきか、ということです。数が数だけに、すべてを掲載するわけにはいきません。「じゃぁ、3冊セットで!」みたいなことを言える身分でもありません。なのでやっぱりここは、読者の皆さんに「掲載してほしい回」を投票してもらうのがいいかと思います。それを参考にすれば必然的にみなさんの納得のいく感じになるんじゃないかと思うのです。なので時間のある人は過去の回もなんとなく気にしててください。実際の投票に関しては、またあらためて発表します。ちなみにですが、「ネットで前のを見れるんだから、わざわざ単行本で見る必要ない」的なものには絶対にしないので、発売日も決まっていないですが、いまから心の中で予約しておいてください。
ほっとくとすぐ社会批判的な文章を書いてしまうので、今日は少しハッピーな話題にしました。それではメリークリスマス!!よいお年を!!

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